春の夜に雨が降る。
窓を閉めていても、サラサラと音が聞こえる。
ベランダの手すりや屋根や窓のガラスで、ピチピチと雨の粒がはじけている。
「雨だわ」
「雨だね」
「その本おもしろいの」
「まあまあかな」
サラサラサラ。
部屋の外では、静かに雨の音。
ぺり。
部屋の中では、静かにページをめくる音。
「静かだね」
「そうだね」
サラサラサラ。
そうだ。良い事を思いついた。
「パパ、ペリエ飲む?」
「どうしたんだい? 珍しいね」
「開けてあげる」
「ありがとう。一緒に飲もうか」
「うん」
サラサラサラ。
カシュッ。
シュワシュワシュワ・・・。
「君は飲まないのかい?」
「うん。音が聞きたかったの」
シュワシュワシュワ・・・。
「はは」
サラサラサラ。
シュワシュワシュワ・・・。
雨の音とペリエの音が混じる。
「じゃあ、君にはコーラを開けてあげよう」
カシュッ。
シュワシュワシュワ・・・。
「乾杯しよう」
サラサラサラ。
シュワシュワシュワ。
シュワシュワシュワ。
春の雨は降り続く。
部屋の中では、ペリエとコーラの泡がはじける。
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